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2011年12月02日

冬富士のルート。



いやぁ。。。

ぶっちゃけると、、、

コレは書こうかどうしようか、ず~っと悩んでいました。。。



って言うのは、、、

冬富士自体が他人にススメる所じゃない気がするし、

私はやまちゃんみたいに冬富士で人をサポートする余裕はまだありません。。。

冬富士で知らない方に一緒に歩いてくれと頼まれてもお断りすると思います。。。



つっても、、、

私はこんだけ冬富士にハマっているし、

この季節は富士山のコトばかり書いているので、

もしかしたら、このブログで煽られちゃった人もいるかも知れません。。。





なので、、、

一応、私の知っている範囲で書いてみようと思います。

冬富士の経験が無い人が、

無駄に危険地帯に入ることぐらいは防げるかも知れないので。





こういうモノのお決まりですが、

このルート解説を元に登って何かあっても一切責任は持ちません。


っていうか、冬富士自体がちょっぴり狂気の沙汰なので、

ちゃんと実践的な制動が出来る、ある程度天気図で風の予想が出来る、などの、

雪山テク(基本ですが)を身に付けている人じゃないと行かないほうがイイです。


まだ、アイゼンワークうんちゃらで、

自分の足にアイゼン引っかける可能性が高いとか、

雪山講習でピッケルを使ったことがあるってだけ、

って感じの人は絶対に止めておいたほうがイイです。

雪、氷、風、以外にも“自分”が大きなマイナス要素になってしまいます。

冬富士は1ミスでさようならってシチュエーションが多いです。


体力は物凄く必要ですが、、、

夏山の体力を基準に考えても意味が無いです。

前シーズンも体力自慢が七合目まで行けなかったっていうのを何人か見ています。




と、、、

私ごときが固いコトを書きましたが、

解説はいつも通りの感じでやりますね。





んじゃ、始めます。





■太郎坊洞門横駐車スペース~大石茶屋~ブル道

冬富士のルート。


駐車スペースから踏み跡を行きます。

明るいうちなら何も問題ない踏み跡ですが、

冬富士の場合は暗いうちに歩き始めるのでちょっと分かり辛いかも知れません。


ちなみに、慣れている人で4~5時の出発、

慣れていない&体力に自信がない人は1~3時の出発らしいです。


沢を登っていく感じですが、途中から開けてきます。

踏み跡を見失っても上を目指していけば問題ないです。

そのうち双子山の手前に出ます。


が、一番合理的なのは、

地形図に線で書きましたが、

途中から沢の右の土手?を歩いて行き、

大石茶屋に出たあとにブル道に入ることです。



まぁ、この辺はシビアな所は無いので気楽に行きませう。



ブル道に入ったら柱沿いにひたすら真っ直ぐ行きます。


冬富士のルート。


ココでのポイントは、体力温存で行くことでしょうか。

冬富士は穏やかな日でも八合目からはかなり男前になります。

そこまではひたすら体力を温存しておいたほうが良いです。





■ブル道~中継小屋~ブル道

冬富士のルート。


中継小屋に近づくと、

風の強い日は宝永山の右上から吹き下ろしてくる強風&つむじ風が届きます。

雪が少ない時は砂嵐、雪が多い時は地吹雪になります。


冬富士のルート。

冬富士のルート。


直撃を受けるとかなり痛くて切ないですが、

コレばっかりは耐えるしかありましぇん。。。

日の出前後が特にこの強風が多いです。



コレに耐えながら中継小屋の軒先に逃げ込みます。



冬富士は休憩できるポイントが少ないのでちょっと休みましょう。

ココで日の出ぐらいだと最高です。


冬富士のルート。


休憩したら、

トラバースするように進んでブル道に出ます。



ココで間違っても大砂走りを直登してはいけません。

上で書いた強風&竜巻の通り道に特攻することになります。

前シーズンですが、超体力自慢の人がココを行き、

体力を消耗して七合目までも辿り着けませんでした。



ブル道に出たら、、、

中継小屋の手前と同じように柱に沿って進みます。


冬富士のルート。


ココも退屈で長いですが、体力温存モードで行きましょう。



旧五合目小屋と同じ標高ぐらいまで行くと、

雪が多い時でも左手の岩場が露出していることが多いので、

そこで休憩するのも良いかも知れません。

冬富士のルート。





■ブル道~七合目近辺

冬富士のルート。


宝永山と同じぐらいの標高になると、徐々に斜度が上がってきます。


冬富士のルート。


この辺りからだんだんキツくなってきます。



今年3月の山行がそうだったんですが、

雪質が悪くてラッセルまがいになる時は、

体力の消耗を抑えて右手の岩場に逃げます。多少はラク。


冬富士のルート。


岩場伝いに行くと七合目の日の出館に着きます。



雪質が良い時は、

そのまま直登して行き、七合四勺のわらじ館を目指します。


冬富士のルート。


ただ、この辺りからは雪は固くなってきます。



どちらで行った場合も、

小屋の前は良い休憩スポットなので、エネルギー補給でもしますか。


風が弱い日だったら、

この区間は大した風は受けずに済むでしょう。





■七合目近辺~頂上

冬富士のルート。


ココまでは、、、

体力&ある程度の雪山経験がある人なら誰でも登れます。

この後からがヤヴァくなります。



直登してわらじ館に行った場合でも、

岩場伝いに日の出館に行った場合でも、

七合九勺の赤岩八合館の右をかすめるように登っていきます。


西に行けば行くほど季節風は強くなるので、

私は赤岩八合館のかなり東側を歩くことが多いです。



八合目からルートは二手に分かれます。

別々に説明します。





①大弛沢を使う場合。


八合目の見晴館跡で気合を入れます。

冬富士のルート。


と言うのは、、、

この角を曲がるとハンパ無い風が前からやってくるからです。

気を抜いてココに入るとぶっ倒されます。


風に抵抗しながら大弛沢に入ると、少し風が弱まります。


ココの特徴は、、、


・吹き下ろしの突風が来るが、吹かれっぱなしでは無い。

・逃げ場が無い巨大な滑り台。

・滑落して止まれなかった場合は宝永火口へダイブ。

・ガチガチのアイスバーンになりやすい。

・上から大小の氷が飛んでくる。

・春に近づくと雪崩も起こりうる。


こんな感じでしょうか。


冬富士のルート。

冬富士のルート。



富士宮との境目の尾根が途中で切れるので、

そこら辺りを基準に風向が変わる気がします。





②長田尾根を使う場合。


まず、長田尾根への入り方ですが、

見晴館跡の裏から普通に入っていくのが取り付きだけ考えれば一番ラクです。


冬富士のルート。


なんですが、

長田尾根の下部は崩れやすくて歩き難いのと、

尾根に入ると風に吹かれっぱなしになるので、

前シーズンは尾根の東側に沿って登り、

第3シェルター辺りから長田尾根に乗ることが多かったです。

上の地形図だと長田尾根に乗るルートの右側ですね。


冬富士のルート。

冬富士のルート。


かと言って、、、

当たり前ですが、、、、

尾根の東側も完全に風が防げるわけではなく、

今年の1月、下山時に私が風に飛ばされたのはココです。



この尾根の特徴は、、、


・とにかく西からの強風に吹かれっぱなし。

・尾根上は風に飛ばされているので雪や氷は少ない。

・岩を手がかりにすることが出来る。

・しかし、脆い岩も多い。

・頂上に着く場所(東安ノ河原)の風が激烈。


こんな感じです。





両方の特徴を見てもらえば分かるように、

大弛沢で行っても長田尾根で行っても、

八合目から先はとにかく必死で、ラクに登れたことはありません。



んで、、、

どちらを選ぶかと言うことですが、

正直言うと、今の私では『この時はこうだっ!!』とは言えません。

私もその時その時の風の状態でかなり迷います。



吹き下ろしの風が弱くて、

雪質が良い時は大弛沢のほうがラクですが、

そんな条件の時は少ないので長田尾根のほうが無難かなとは思います。

ただ長田尾根も長時間、風に吹かれ続けるのでキツイです。

頂上に着いても浅間神社まで行けなかったコトもありますし。





■下山


冬富士は頂上に着くだけでヘトヘトになります。

んがぁ、一日のヤマはこれから始まると言っても過言ではありません。

恐怖の下山です。



とにかく、

八合目に降りるまでは、集中力をこの日一番ぐらいに高めて下さい。



風が無くても、

イキナリ後から吹き下ろしの風がやってきます。

絶えず背後を気配を気にしながらの下山です。

隙を見せるとキます。



この感じが一番難しく、

また1月に飛ばされた話になりますが、

私は飛ばされたのに、一緒に歩いていたやまちゃんが大丈夫だったのは、

経験から来る勘と、経験からくる備え(体勢)が違ったからだと思います。





八合目の下まで来たからと言っても、まだ気は抜けません。

そのまま集中力を持続して七合目の小屋群を抜けて行きませう。

アイスバーン地帯は抜けていません。



そのあと、、、

旧五合目小屋辺りまで来たらちょっと一息つきます。

ココからはよっぽど変なコトしなければ死ぬことは無いと思います。

駐車スペースまでまだまだ長いですが。。。







データでは、、、

距離16km以上、標高差約2500m、の雪山です。

行動時間は10~13時間。

キツくないはずがありましぇん。



前シーズン、ヒドイ時は一日で3kg痩せました。

身体も精神も疲れます。



登る人はグッと減るのに、遭難はコンスタントに起きます。







最後に、、、

前シーズンの登った時の気圧配置のまとめをリンクしておきます。


【冬富士まとめ。】







今頃、降ってるんでしょうねぇ。










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この記事へのコメント
>ブログで煽られちゃった人もいるかも知れません

はぁ~ぃ。 思いっ切り煽られちゃってま~す。(^^ヾ
富士山って、何て言うか、上手く言葉に出来ないですけど
独特の魅力を強く感じますねぇ。 すっごく良い山です。
んでも、本格的な冬富士に近づこうとは全く思わんですけどね。

んにしても工場長は本当に勉強熱心ですなぁ。
いつも感心してますよ。

これから冬富士を目指そうと言う方も多いのでしょうが、
よくよく勉強(下準備)をされ、くれぐれも誌面を賑やかす結果にだけは
なって欲しくないですね。

んま、釈迦に説法かとは思いますが
工場長もくれぐれもお気をつけ下さいね。
Posted by Oうち at 2011年12月02日 19:54
素晴らしき解説!洞門駐車スペースからの道順が良く分かりませんでしたが、これで良くわかりました(かな?)。ま~自分は無理しないで、冬富士とつき合いますよ。いつかはクラウン、じゃないですが。
Posted by ケニ屋 at 2011年12月02日 20:18
ちわっすぅ!

冬靴にクランポンで硬い蒼氷と岩場のミックス・・・ぅうう、考えただけで足に痛みが走りますorz、


洞門脇の駐車スペースからルートまでは登りより下山時のほうが不安になりますよね←人間とシカのトラック(足跡)が交錯してややこしいです。←方向さえ合ってればルートを外れても必ず道路に出るとわかっていても疲労感から焦ります。
Posted by モンゴル at 2011年12月02日 20:49
毎度です!

今年の冬に是非ご一緒したい!
Posted by CARRERA at 2011年12月02日 22:23
は~~い!!
わしも 魅せられ・煽られた ひとりです
この ブログさえ ひっかからなければ・・・・

なんせ わしゃ~ビビりなもんで
怖い と おもったとこで 即 撤収!!

雪がつく前の御坂をもっとみてから
上をめざします

まだまだ これから
お山は 逃げませんで・・・

んじゃ~上に行けたあかつきには
タイトル写真の鳥居に
ブランコさげて・・・
ぼく 座り
あなた 立ちこぎで ヨロピコ

御安全に!!
Posted by はや at 2011年12月03日 06:08
Oうちさん。ちわっス!!

>はぁ~ぃ。 思いっ切り煽られちゃってま~す。(^^ヾ
すいませんねぇ。。。

>独特の魅力を強く感じますねぇ。 すっごく良い山です。
完全にハマっちゃってますな。
この秋、何回も行ってましたもんね~。

>んにしても工場長は本当に勉強熱心ですなぁ。
いやいや。
コレはただのまとめに近いんで、新たに調べたものはないですよ。
なので、書く自体は楽でした。
載せるのは迷いましたけど。

>工場長もくれぐれもお気をつけ下さいね。
俺は飛びっきり臆病ですからねぇ。
これからも気をつけて山やりますデス。
Posted by 工場長@家 at 2011年12月03日 08:34
ケニ屋さん。ちわっス!!

>洞門駐車スペースからの道順が良く分かりませんでしたが
私も最初は駐車場を目指していたんですが、
何度か登るうちに大石茶屋のほうが合理的だなと。

>ま~自分は無理しないで、冬富士とつき合いますよ。
私もそうです。
冬富士だけは無理しないと心に決めておりヤス。
じゃないと登り続けられなくなっちゃいますので。
Posted by 工場長@家 at 2011年12月03日 08:50
モンゴルさん。ちわっス!!

>洞門脇の駐車スペースからルートまでは
>登りより下山時のほうが不安になりますよね
そういえば最初はそうでしたね。
けど、何度も歩いたので慣れましたデス。

>人間とシカのトラック(足跡)が交錯してややこしいです。
あはは。確かに。
あとは交差した先に焚き火跡があったりとか。
人間&動物の遊び場なんでしょうね。
Posted by 工場長@家 at 2011年12月03日 08:54
CARRERAさん。ちわっス!!

>今年の冬に是非ご一緒したい!
ひぃぃ。。。
上のほうで偶然お会いしませう。。。
Posted by 工場長@家 at 2011年12月03日 08:55
はやさん。ちわっス!!

>この ブログさえ ひっかからなければ・・・・
ご、ごめんくさい。。。

>怖い と おもったとこで 即 撤収!!
はやさんの華麗な撤退ぶりには、
ワタクシはヘンな心配をしなくて済みますわい。

>タイトル写真の鳥居にブランコさげて・・・
>ぼく 座りあなた 立ちこぎで ヨロピコ
ぶふぁふぁ。。。
コレにはかなり笑ってしまいすた。。。

一瞬、ハイジっぽいですが、、、
デカイおっさん二人の絵面はキタナキモイっすな。。。
Posted by 工場長@家 at 2011年12月03日 08:59
こんにちは。
検索で「変態倶楽部」とか「嫌な体験」とかで検索すると、
なぜかここに辿り着くんですよね。
まあ当たり前ですか。

あれ。ものすごく久しぶりじゃあないですか。
すいません留守がちだったもので。
いえ、服役とかじゃないんです、本当に。

とにかくこんにちは。お元気そうで何よりですよ。
え? だってこの列島で元気ベストテンに入ってないと、
こんな記事書ける分けないじゃないですか。
僕はGWの佐藤小屋の辺でもうお腹いっぱいですってば。
しかしまあ... こういう情報源って、すげえ貴重なんだなあと。
そう言う訳でして、また。
Posted by い●るぷ at 2011年12月04日 15:52
睨下。ちわっス!!

もしかしたら愛猫との死闘で、、、、、、、
などと思っていたので、生存確認できて良かったですわよ。

一連の山仕事は片付いたんですなぁ。
北アは山小屋⇒シーズンオフになると下の温泉旅館、
みたいなシーケンスになりますもんね。
俺が居た御前小屋もその後に宇奈月へ流れた人が何人か。

とか言いながらも、
「もしや、、、駆落ちor禁固刑。。。」
などと、あらぬ心配をしていたのは内緒にしておきましょう。

>検索で「変態倶楽部」とか「嫌な体験」とかで検索すると、
そのほかのメインワードはアレですよ、
「タバスキーファンクラブ」「大飯喰らい選手権」「アル中」
って感じ当ブログです。

>しかしまあ... こういう情報源って、すげえ貴重なんだなあと。
>そう言う訳でして、また。
初めて冬富士を登ろうとした時に、
通してのルート解説が無かったんで、
タブーっぽくなってるのかもと思ったんですが、
やはり情報としてはあってもイイかな、と思った次第です。
Posted by 工場長Ⅱ工場長Ⅱ at 2011年12月05日 05:39
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